洋楽を聴くようになってからというもの、急激に大人っぽい行動や趣向に憧れ、突っ走るようになっていきました。いわゆる「中2病」への感染です。
中2病という症状の定義の一つに
洋楽を聴き始める。
というのがある。まさにそれである。
症状は他にも
うまくもないコーヒーを飲み始める。
売れたバンドを「売れる前から知っている」とムキになる。
やればできると思っている。
親に対して「プライバシーを尊重してくれ」と激昂する。
社会の勉強をある程度して、歴史に詳しくなると「アメリカって汚いよな」と急に言い出す。
少年ジャンプから急にヤングジャンプを読みだす。
などなど、中学2年生くらいの思春期によくある、背伸びしがちなあるあるを自虐した言葉であり、まさに中2の少年がちょっとだけ大人っぽい背伸び行動を取ってみたくて、苦いブラックコーヒーを飲みながら洋楽レコードを聴くという中2病症状を、私は1年先取って中1の時に感染・発症しました。
自分が中2病にかかった感染源は、やはり周りの友人による媒介が非常に大きいと思います。
特に兄貴のいる友人は何を取り上げても自分よりも進んだ思考を持っており、
服装も、読む雑誌も、聴く音楽も、持っている小物も、また流行のスポットも、とにかく何でも大人っぽい思考を持っており、小7の自分に多大なる影響を及ぼしました。
そのことが洋楽を聴くことにつながり、コンバースを履きたくなることにつながってくるのであります。
他の中2病症状に比べ、特に洋楽を聴くことについては非常に重篤で、洋楽に関する情報を得るために、前述した「サタマガ」だけでなく、夜中遅くに眠い目を擦りながら見た洋楽ランキングの本家である「MTV」や「ベストヒットUSA」といった、更に洋楽に特化したガチな音楽番組も見るようになったり。
また当時はFMラジオの洋楽番組も盛りだくさんで、FM雑誌の番組表を見ては、何時にどんな曲が流されるかを調べ、その時間にはラジオから流れる曲をカセットテープに録音するということもしてました。(今では完全に死語となってしまいましたが、この行動をエアチェックといいました。)
兄貴のいる友人はレコードやカセットテープもかなりの数を持っており、レコードを聞かせてもらいに友人の家に遊びに行ったものでした。
またテープにダビング(古語)してもらい、私も洋楽カセットテープコレクションを増やしていきました。
少しずつ洋楽知識が増えていった私は、特にDURAN DURAN(デュラン・デュラン)というグループが好きで、初めて洋楽のカッコよさをこのバンドで知りました。
DURAN DURANは80年代を代表するイギリスのロックバンドで、
のちに「第2次ブリティッシュインヴェイジョン」と呼ばれる、アメリカでイギリスのグループ等がMTVに多くランクインし、イギリス音楽がアメリカ音楽市場をインヴェイジョン(侵略)し人気となる現象の中心的存在となり、全世界で大人気となったバンドです。(前述のWham!ワムも)
先日イギリス・バッキンガム宮殿前で行われた、エリザベス女王の在位70周年を記念して開催されたコンサートにも出演してましたが、相変わらずカッケぇなぁ…歌声はあの頃のまま。
でも老けたなぁ…いや俺もか…
後で知ったことですが、DURAN DURANはなんと1984年1月に、今は無き宮城県スポーツセンター(ばあちゃんに聞いてみよう)にライブしに来ているのである。
私がDURAN DURANを知るたった半年前の出来事である…
東京大阪ならまだしも仙台の、しかも自転車で行ける距離に、あの世界的バンドがライブに来ていたと思うと感慨深いものがあります。
中2病も少しずつ進行し、洋楽というちょっと大人びたアイテムを手に入れた私は、
歌謡曲やアイドルの曲はダサいとか思うようになり、苦いコーヒーを片手にホットドックプレスというヤングのバイブル雑誌を読み、ひたすら洋楽のみを聴き込み、兄貴のいない私でもなかなかの洋楽フリークに成長したのではないかと自負していました。
がしかし、俺は全然まだまだだなぁ…と思い知らされたことがありました。 つづく
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