【岩沼の塾ブログ】デジタル時代と「伝統」 其之壱

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私は高校生の時、応援団に所属しておりました。

当時応援団という組織は、生徒会と体育会系部活動との間くらいに存在し、全校生徒に顔を知られたちょっとした感じの存在だったと思います。

県内各高校には必ずといっていいほど応援団はあり、高校総体や全国大会の県予選等の運動部の対外試合には必ず駆け付け、自校の勝利やプライドにかけて応援したものである。

自分の在籍した3年間において、はるか昔からの先輩から受け継がれていた「伝統」は、
県高校総体の開会式では、県内どの高校よりも早く巨大応援団旗を掲げ、どの高校よりも早く
「声出し」をしなければならない、という伝統があった。

やはりこの伝統を自分たちが3年生の時に途絶えさせてはいけないというプレッシャーは相当なもので、当日は朝5時半には、宮城野原の陸上競技場の門の前にてスタンバイし、開門の時刻を待ちました。

開門と同時に自分の高校の応援場所へとダッシュし、巨大応援団旗を掲げ、一番で声出しをし、
数字の付く伝統校より、地方から来る地元の伝統校よりどこの高校よりも早く「伝統行事」を行い、自分たちの代での「伝統をつなぐ」という重大な責任を果たし、次の代へと伝統というタスキを渡しました。

あれから30年以上経ち(歳バレる)、
2022年の今、応援団がある高校は一体どれくらいあるのだろう。

県内の伝統校と言われる高校にはいまだ脈々と応援団は存在し、昔ほど活発ではないもののその活動を続けていることと思われるが、その数たるや、我々が高校生だった当時に比べれば、もう風前の灯火レベルの絶滅危惧種の高校文化ではないかと思われます。


「今の時期は、新入生は毎日応援練習なんだろ?」
と新学期が始まった頃、高校2年生青春真っただ中のキラキラ女子の娘に聞いたところ、

「応援練習なんかしたことないよ。そもそも応援団なんていないし」
「応援練習しないの⁉ 応援歌とかどうしてんの?」
「応援歌?とは一体?」校歌もろくに知らないという…
なんとまぁクールというか、ドライというか…

娘に限らずどの高校生もこんな感じだろうし、学校に応援団がない以上、応援歌なんて知らないのが当たり前である。

応援団という古臭いアナログ高校文化が衰退していることは、応援団という存在がもう今時のデジタル高校生文化にはそぐわないことは理解できるし、ニュース等でも高校総体に向け、今時の応援団事情が特集されていたくらい、応援団自体が生きた化石の珍しいものとして扱われている。

いくら衰退しているとはいえ、全く高校に応援団という組織が存在せず、ましてや応援練習どころか応援歌さえ知らないという、何とも嘆かわしい現実、これも時代の流れなんだろうか。

と簡単に時代の流れの一言で片付けてしまってもいいことなのだろうか。
少なからず、校歌をはじめ応援歌とは「愛校心」であり、それを歌うこと歌えることで、自分がこの高校の生徒であり、この高校の同窓生である証なのではないのかな、と思うのは自分が応援団だったから思うだけなのだろうか。

しかし残念ながら我が母校の応援団もまた時代の流れに沿いも沿って、一応組織自体はあるにはあるらしいが、もう活動はしていないという応援団の2コ上のおっかねぇ先輩情報。

受験前、「この高校に行きたい」「この高校で3年間の青春時代を送りたい」
と心に決め、一生懸命つらく厳しい受験勉強を乗り越えて、晴れて合格いよいよ憧れの○○高校での高校生活の始まり。

なのに、しばらく経つとたいてい口にするのは、
「うちの高校つまんねえし」「校歌なんか知らねえし」
とまぁ自虐も含めた16.7の子らが言いそうな学校に対する否定的な言葉ではあるが。 つづく


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盛岡一高、東北大。中学受験の塾「標準仙台校」に入社。2008年から独立し仙台藤原塾を設立。東大合格生から不登校児まで数千人以上の様々な生徒を指導。近隣学校での講演会あり。ボードゲーム「悲しき熱帯魚」「漁村においでよ!」「俺の街」「ぶたぶたこぶた」作者。ボードゲームはドイツのエッセンシュピール’16にも出展。独自の楽しくアタマが良くなる知育パズル本も好評発売中。